薬師如来をお守りします!
十二神将立像(じゅうにしんしょうりゅうぞう)
薬師如来の眷属(けんぞく―家来・部下)である十二神将は、グループで活躍する仏像の一つで、12躯(く)で構成されています
12という数は、薬師如来が「十二の大願」を立てて、人々を救済したためと考えられています
薬師如来は、正式には薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)という
はるか東にある仏の世界、浄瑠璃浄土(じょうるりじょうど)の主です
薬師如来は、如来になる前、菩薩として修行していたときに、12の願い事を成就(じょうじゅ)して、如来となりました
十二神将は、この薬師如来に従っています
薬師如来を信仰する人々を外敵から守り、悪い心を持つ人々に対して、甲冑(かっちゅう)を身にまとい武将の姿をして、手には武器を持ち、怖い顔で威嚇(いかく)しています
平安時代以降に制作された十二神将の作品には、頭上に十二支の動物をいただくものが見られる
十二神将は仏の種類で大別すると、天部(てんぶ)に属します
天部のメンバーの多くは、仏教発祥の地インドで、お釈迦様が生まれる前から信仰されていたバラモン教やヒンドゥー教の神様などが仏教に取り込まれたもの
十二神将もその中の一つです
インド神話に登場する夜叉(やしゃ)や鬼、悪魔、もともと仏教の敵でもありました
それがお釈迦様の教えに圧倒されて心を改めたとされています
十二神将は12躯ですが、それぞれが7000の従者がいる
つまり合計8万4000のお供を引き連れて、薬師如来を信仰する人々の幸せにするために戦っている
『薬師本願経(やくしほんがんきょう)』より
中国では隋(ずい)時代(6世紀末~7世紀初)の、敦煌石窟(とんこうせっくつ)の壁画があります
さまざまな十二神将像がつくられていますが、お寺によって12躯の名称やポーズ、配置などは異なります
バザラ、クビラなどの名は、古代インドのサンスクリット語(梵語名)で、仏教がつくられた際、それらの名前に漢字を当てはめたものなので、漢字そのものには意味はありません
十二神将像 (じゅうにしんしょうぞう)
因陀羅(インダラ)大将
左手を腰に当て、右手に矛(ほこ)を持っている
巳(ヘビ)🐍
バラモン教において重要な神様である、雷神インドラ
安底羅(アンテラ)大将
両手に法具の払子(ほっす)をもっている
申(サル)🐒
迷企羅(メイキラ)大将
左手を上げ、右手を腰に当てている
酉(トリ)🐓
珊底羅(サンテラ)大将
左手を腰に当て、右手に矛を持っている
午(ウマ)🐎
真達羅(シンダラ)大将
左手に宝棒、右手に宝珠を持っている
寅(トラ)🐅
招住羅(ショウトラ)大将
左手に剣を持ち、右手は腰に当てている
丑(ウシ)🐄
インド神話のチャトゥラ
宮毘羅(クビラ)大将
左手を腰に当て、右手に剣を持っている
亥(イノシシ)🐗
摩虎羅(マコラ)大将
左手を腰に当て、右手に斧を持っている
卯(ウサギ)🐇
毘羯羅(ビギャラ)大将
左手を腰に当て、右手に法具の三鈷杵(さんこしょ)を持っている
子(ネズミ)🐁
インド神話のマホラガ・マクラ
波夷羅(ハイラ)大将
両手に弓と矢を持っている
辰(タツ)🐉
頞儞羅(アニラ)大将
両手に矢を持っている
未(ヒツジ)🐏
伐折羅(バザラ)大将
左手を垂らし、右手に剣を持っている
戌(イヌ)🐕
ぜひ!見たい十二神将
●新薬師寺(しんやくしじ)奈良県
国宝
奈良時代
塑像(そぞう)
像高152.0~166.0㎝
上部の写真です
等身大なので迫力満点です
●興福寺(こうふくじ)奈良県
国宝
木造
彩色
鎌倉時代
像高113.0㎝~119.0㎝
それぞれの頭上に、干支の🐕戌(いぬ)、🐁子(ねずみ)や辰(龍)をのせています
●室生寺(むろうじ) 十二神将立像
重要文化財
木造
彩色
鎌倉中期
像高約100㎝
室生寺の十二神将は、頭上に愛らしい干支をつけ、子神(ししん)、丑神(ちゅうしん)、寅神(いんしん)、卯神(ぼうしん)、酉神(ゆうしん)などのように、干支(えと)の名称がついている
表情がゆたかで慶派(運慶の子が?)では?
頭上の干支は無くなったものが何体かあります
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