大威徳明王って?

大威徳明王(だいいとくみょうおう)

6つの顔、6本の腕、6本の足を持ち、水牛に乗る

梵字:キリーク

真言:オン・シュチリ・キャラロハ・ウン・ケン・ソワカ

印:檀茶印(だんだいん)中指を立てて合わせ、人差し指が少し拡げ気味

五大明王のうちのひとつで西方を守る

阿弥陀如来(あみだにょらい)が忿怒の姿で現れた化身である

「大威徳(だいいとく)」とは、大きな威力の徳性をもつ、という意味

その威徳を以って、人々を害する毒蛇・悪龍・怨敵を打ち倒す

牛にまたがる姿は、水牛が田んぼの泥水の中を歩き回るように、 あらゆる障害を乗り越えて進んでいくことを表しています

六面の顔、六本の腕、六本の足をもつ六面六臂六足(ろくめんろっぴろくそく)である

足を六本もつところから、六足尊(ろくそくそん)とも呼ばれる

六つの顔は
六道(地獄界 餓鬼界 畜生界 修羅界 人間界 天上界)を見渡す

六つの腕は
矛や長剣などの武器を持ち法を守る

六本の脚は六波羅蜜
布施:分け与える
自戒:規則を守る
忍辱:耐え忍ぶ
精進:努力
禅定:散乱する心を安定させる
智慧:真実の道理を見抜く
を怠らず歩み続ける決意の象徴

密教の戦勝祈願の祈祷「大威徳調伏法(だいいとくちょうぶくほう)」の本尊である

密教の胎蔵界(たいぞうかい)において文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の眷属(けんぞく―従者)もしくは化身とされることもある

インド名は「ヤマーンタカ」

ヒンドゥー死神ヤマ(閻魔(えんま)大王)を降(くだ)したとされ、
閻魔徳迦(えんまとくか)
降閻摩尊(ごうえんまそん)という

水牛と関連して農牛神としても信仰される

ご利益は「戦勝祈願」・「煩悩除去」


火焔光背(かえんこうはい)

焔髪(えんぱつ)

忿怒面(ふんぬめん)
怒りに満ちた表情
顔の数は頭上の三面と合わせて六面ある

第三の目

宝剣(ほうけん)

宝棒(ほうぼう)

壇陀印(だんだいん)
両手の中指だけを立てて合わせる独特の印相

矢(や)

虎皮裙(こひくん)
虎皮の裙(腰巻き)
虎(とら)のような強さを表す

水牛(すいぎゅう)
水牛が泥水でも、陸地でも、自由に歩けることから、地獄から天界まで、行き来できることを表す

六本の足
仏像にしては珍しく六本の足をもつ

足釧(そくせん)
足首の足飾り

 

●大威徳明王像(だいいとくみょうおうぞう)


真木大堂(まきおおどう)(大分県豊後高田市)

重要文化財
平安時代
像高 165.3㎝

九州の国東半島にあるお寺
どっしりと正面を向く水牛が印象的です

●大威徳明王(だいいとくみょうおう)


称名寺光明院(しょうみょうじ こうみょういん)(神奈川県)

神奈川県立金沢文庫管理

重要文化財
鎌倉時代
像高 21.2㎝
運慶作

近年再発見された
本来は六面六臂六足で、水牛の台にまたがった姿であったというがカッコイイ
貴重な運慶最晩年の作

●大威徳明王像(だいいとくみょうおうぞう)


禅定寺(ぜんじょうじ)(京都宇治田原)

ふつう大威徳明王は蹲(うずくま)った水牛に乗るが、この像は象にのっている

おそらく元の水牛の台座は欠損し、本体が失われた普賢菩薩(ふげんぼさつ)の台座(象)に乗せたものと考えられる

●大威徳明王像(だいいとくみょうおうぞう)


石馬寺(いしばじ)(滋賀県)

重要文化財
平安時代
像高 117㎝

水牛が右足を曲げて立ち上がろうとしているところが特徴的
(イイ写真が見つからず(~_~メ))

●大威徳明王騎像(だいいとくみょうおうきぞう)

 


東寺(とうじ)(京都)

国宝
平安時代
像高 約1.4m
木造彩色(乾漆補)

左右の4臂には鉾・剣・竜索・宝棒を持ち、水牛にまたがっています

大威徳明王 伝説

昔ある僧が悟りを開くため修行に励んでいました

もう少しで悟りを開けるという直前に盗賊達に襲われ、
一緒にいたスイギュウともども首をはねられ殺されてしまいます

望みを絶たれてしまった修行僧は、
スイギュウの首を拾って自分の胴体につなげ、盗賊たちを皆殺しにしてしまいます

狂った修行僧は、関係のない人々も無差別に殺す悪鬼・死神になり、
文殊菩薩はその悪鬼を倒すため、同じような牛面で、悪鬼以上の武器をもった姿になり悪鬼を倒します

文殊菩薩が悪鬼を倒した姿こそが大威徳明王だと言われています

 

大威徳明王,明王

Posted by susu