虚空蔵さまって?

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)

宇宙のような無限の智恵は記憶力を増し、技能や芸術にも!
すごい仏さまです

梵字:タラーク

真言:おん ばざら あらたんのう
   おん たらく そわか

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)は密教の仏さまです

インド名は「アーカーシャガルバ」といい、『虚空の母体(蔵)』を意味する

それは、宇宙のような無限の智恵と福徳がつまっている貯蔵庫を意味し、その智恵は記憶力を増し技能や芸術の知識にもおよぶ

弘法大師(こうぼうだいし)(空海)は若いころ、虚空蔵菩薩の名を100万回となえる「虚空蔵菩薩求聞持法(ぐもんじほう)」という修行によって超人的な記憶力を身につけました

平安時代以降、学業成就の菩薩として信仰を集めてきた

東大寺の大仏の脇侍(わきじ)として、観音菩薩とともに配置されている

また、地蔵菩薩と対になる場合も多い

日蓮(にちれん)も日本一の智恵を授けてくれるよう虚空蔵菩薩のお堂に21日間こもり祈願したとされる

いまも「十三まいり」といって13歳になるとき虚空蔵菩薩にお参りする風習が各地に残っています
13詣(まい)りは毎年4月13日です

丑(うし)年・寅(とら)年の守り本尊で、「滅罪招福(めつざいしょうふく)」「成績向上(せいせきこうじょう)」「記憶力増進(きおくりょくぞうしん)」「技芸向上(ぎげいこうじょう)」のご利益があります

右手に剣、左手に宝珠を乗せた蓮華をもち、宝冠をかぶる像が多いが、例外も多い


宝冠(ほうかん)
金剛界五智如来(こんごうかいごちにょらい)の化仏がついている

瓔珞(ようらく)
金・銀・真珠をつないだ胸かざり(ネックレス)

宝剣(ほうけん)
煩悩(ぼんのう)をたち切る

如意宝珠(にょいほうじゅ)
何でも願いがかなう

臂釧(ひせん)
上腕につける飾り

腕釧(わんせん)
腕輪(ブレスレット)

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)

額安寺(かくあんじ)(奈良)

重要文化財
天平時代
木心乾漆像
像高 52cm

日本最古の虚空蔵菩薩像

鎌倉時代後期に、補修されている

額安寺の虚空蔵堂に安置されていたが、現在では奈良国立博物館に寄託している

虚空蔵菩薩半跏像(こくうぞうぼさつはんかぞう)

金勝寺(こんしょうじ)(滋賀県)

重要文化財
平安時代
像高 194.0㎝

右足を下げ、左足を台座に乗せる半跏像
巨大な像だが、髪や衣文(えもん)の掘り込みが細かく仕上げられている

伝虚空蔵菩薩立像(こくうぞうぼさつりゅうぞう)

法輪寺(ほうりんじ)(奈良県)

重要文化財
飛鳥時代
クスノキ一木造り
像高 175.4㎝

観音菩薩として造られた可能性が高い

虚空蔵菩薩立像(こくうぞうぼさつりゅうぞう)

勝常寺(しょうじょうじ)(福島県)

重要文化財
平安時代
像高 147.5㎝

衣などに天部の特徴があり、弁財天と呼ばれていた時代もあった

木造虚空蔵菩薩坐像(もくぞうこくうぞうぼさつざぞう)

能満寺(のうまんじ)(神奈川県)

横須賀市文化財
室町時代
寄木造り
玉眼
像高 約50cm

宗風彫刻の特色があり、台座・持物・宝冠・瓔珞は後の時代に補なったものです

能満寺は、鴨居の港や東京湾、房総まで一望できる高台に建っています

東京や横浜あたりから、4月13日「十三参り」に来る人がいるという

木造虚空蔵菩薩坐像(もくぞう こくうぞうぼさつ ざぞう)

大山祇神社(おおやまつみ じんじゃ)(千葉県)

県指定有形文化財

カヤ材の寄木造
像高 約152cm

造像年代を示す資料がなく、鎌倉時代後半の造像が考えられるが、平安時代後期から室町時代までとする説もある

神社に納められているのは、かつての神仏習合の名残

五大虚空蔵菩薩(ごだいこくうぞうぼさつ)

金剛界(こんごうかい)五智如来(ごちにょらい)の化身(けしん)

天変地異など国家に降りかかる災いを取り除くために、増益、息災を祈願する修法の本尊とされた

五大虚空蔵菩薩(ごだいこくうぞうぼさつ)

東寺 観智院(とうじ かんちいん)(京都)

重要文化財
9世紀
平安時代に持ち帰った仏像

空海の孫弟子にあたる恵運(えうん)が、唐から持ち帰って安祥寺(あんしょうじ)に祀っていたものです

南北朝時代、大風のために安祥寺の堂が倒壊したので、東寺の観智院に移されたと伝えられています

空海は虚空蔵菩薩を単独の尊厳としてあがめる信仰のほかに、五体の虚空蔵菩薩をセットにしてあがめる信仰の創始者でした

五大虚空蔵菩薩坐像(ごだいこくうぞうぼさつざぞう)

金剛(こんごう)・業用(ごうゆう)・法界(ほっかい)・蓮華(れんげ)・宝光(ほうこう)

神護寺(じんごじ)多宝塔(京都府)

国宝
9世紀
乾漆併用系木彫
像高 94.2㎝~99.1㎝

5体がそろった現存する最古の仏像です

空海の後を継いで神護寺の住職をつとめた真済(しんぜい)が多宝塔を建立し、その本尊として五大虚空蔵菩薩坐像を造立した

5体の像は、それぞれ色が塗り分けられている

法界(ほっかい)虚空蔵は白
金剛(こんごう)虚空蔵は黄
宝光(ほうこう)虚空蔵は緑青
蓮華(れんげ)虚空蔵は赤
業用(ごうゆう)虚空蔵は黒
これらの彩色は金剛界五仏にゆらいすると考えられている

各々異なる法具を持っている

左手にはそろって三鈷

五大虚空蔵菩薩の配置図

西 蓮華(れんげ)虚空蔵        北 業用(ごうゆう)虚空蔵
中央 法界(ほっかい)虚空蔵
東 金剛(こんごう)虚空蔵       南 宝光(ほうこう)虚空蔵