正暦寺 孔雀明王坐像と薬師如来倚像

2023年12月23日

正暦寺(しょうりゃくじ)


992(正歴3)年、一条天皇の勅命を受けて、九条兼家の子、兼俊僧正によって創建されました

本尊を薬師如来、守護はを牛頭天皇(ごずてんのう)と清瀧権現(せいりょうごんげん)です

●孔雀明王坐像(くじゃくみょうおうざぞう)


制作 鎌倉時代
像高 46.7㎝
一木造(内ぐり)
玉眼

1面4臂で孔雀の背の上に結跏趺坐(けっかふざ)し、
孔雀の羽を光背にしている

4本の手には、孔雀の羽、吉祥果、蓮華、法輪をもち
宝冠や首飾りを華やかにつける

きりりと引き締まった、慈愛に満ちた表情をしている

細い孔雀の2本の足は鉄製
光背や冠、持物などは後補

福寿院客殿にて、両脇に愛染明王を配し、参拝することができます

〇福寿院客殿(ふくじゅいん きゃくでん)

重要文化財

1681(延宝9年)に建て替えられた建物
上壇の間を持つ、数寄屋(すきや)風建築

中のふすま絵・欄間(らんま)の絵は、京狩野3代目の狩野永納(かのう えいのう)によって描かれています

福寿院客殿から望む庭から四季折々の自然の風情を楽しむことができ、
ゆっくりした時を過ごすことができます

●本尊薬師如来倚像(ほんぞん やくしにょらい きぞう)


重要文化財
白鳳時代
像高 約30㎝

台座に腰を掛けるという倚像の形をとる金銅仏です

足は、踏み割り蓮華に乗せています

古代の金銅仏らしい童顔の小像で、右肩をあらわにしている

正暦寺の御本尊であり、特別公開時(年3回)のみ御開帳するため秘仏となっています

写真で見ると仏様?と疑問を感じる面白い像ですが、実際に観ると仏様の精神性を強く感じます

●日光菩薩立像


平安時代(10〜11世紀)
ケヤキ
一木造り
像高 約160㎝

頬がふっくらとして丸みを帯びています

●月光菩薩立像


平安時代(10〜11世紀)
ヒノキ
一木造り
像高 約160㎝

鼻筋が通り、面長な顔立ちをしています

日光菩薩と月光菩薩は、本堂の薬師如来坐像の左右に安置されています

両像は聖林寺の十一面観音菩薩立像と、法隆寺にまつられる地蔵菩薩立像と供に、
三輪山のふもとの大神神社の境内にあった、大御輪寺(だいごりんじ)という寺に、江戸時代までまつられていました
明治元年(1868)の神仏分離令によって、正暦寺へ移されました

日光菩薩と月光菩薩とされていますが、本来の名称は分かっていません
現在は一対にされていますが、日光菩薩の方が少し大きく、顔の表現の違い、腰の前の衣の処理などは異なることから、もとは別々につくられたと考えられています

手は近年に補われたものです

奈良市菩提山町

孔雀明王,薬師如来

Posted by susu