高僧像って?
高僧像(こうそうぞう)
仏教の布教に貢献した聖徳太子や鑑真、新しく宗派を開いた祖師 空海
釈迦の弟子だった「十大弟子」や、中国の名僧などの像が制作された
死後間もない高僧の場合には、追慕の意味もこめて、人格や身体的特徴をとらえて造られている
●鑑真和上坐像(がんじんわじょうざぞう)
唐招提寺(とうしょうだいじ)(奈良県)
国宝
奈良時代 8世紀
脱活乾漆造
像高80.1㎝
日本僧の栄叡(ようえい)と普照(ふしょう)は、受戒(じゅかい)の師を招くために、揚州の大明寺にいた鑑真を訪れた
その要請に応え鑑真は、長い歳月をかけ日本にきた高僧です
●宝誌和尚立像(ほうしわじょうりゅうぞう)
西往寺(さいおうじ)(京都府)
重要文化財
制作 平安時代
像高 159㎝
一木造(ヒノキ)
彫眼 素地
宝誌和尚は、5~6世紀の中国の僧で、神のような霊力を示し、顔の皮を裂くと、割れ目から観音菩薩が出てきたといい
この像は、その瞬間を表現したものである
●聖徳太子二歳像
元興寺(がんこうじ)(奈良県)
鎌倉時代
木造.彩色
像高68.2cm
伝説では、聖徳太子が二歳の時、東に向かって「南無仏」と唱えて合掌したところ、手から仏舎利が現れ、
その姿を表したのが本像で、南無仏太子像ともいう
像内に仏舎利を象徴する五輪塔が納入されている
●伝教大師(でんぎょうだいし)(最澄(さいちょう))坐像
観音寺(かんのんじ)(滋賀県)
重要文化財
鎌倉時代
像高約65㎝
一木造(ヒノキ)素地
伝教大師(767~822年)とは、桓武の後押しを受けて中国に渡り、天台の教えを学び、日本に天台宗を広めた宗祖である最澄のことです
最澄は遺言で「我がために仏を作ることなかれ」と述べており、その肖像は少なく、本像は最澄の現存最古の肖像彫刻
「比叡山で12年間学べば、だれでも仏になれる」と教えました
●弘法大師像(こうぼう だいし ぞう)
雨宝院(うほういん)(京都府)
口を開いているので「あせかきの大師」と呼ばれ、冷や汗をかくほど辛いことでも助けてくれるという
中国から土木、建築、医学、文学、占星術(せんせいじゅつ)など、さまざまな分野の最新知識を持ち帰りました
ふつうの人びとが学べる学校を日本で初めてつくったのも空海です
空海は日本の「知の巨人」として、いまも人びとに尊敬されています
●俊乗上人坐像(しゅんじょうしょうにんざぞう)(重源像(ちょうげんぞう))
東大寺(とうだいじ)(奈良県)
国宝
鎌倉時代
像高81.8㎝
重源は鎌倉時代前期の僧で、源平の争乱で焼失した東大寺を再建するために、全国を巡って寄付を募った
重源の死後、その菩薩を弔うために造立されたと伝えられる
慶派の一流仏師によるものと推測されている
●無著像(むぢゃくぞう)
興福寺(こうふくじ)北円堂(奈良県)
国宝
鎌倉時代
寄木造(桂材)
彩色
玉眼
像高194.7cm
無著は4~5世紀に活躍したインドの学僧
老人の顔で右下を見る
運慶の指導により運助(うんじょ)(運慶の六男)が制作
●世親立像(せしんりゅうぞう)
興福寺(こうふくじ)北円堂(奈良県)
国宝
鎌倉時代(1212)
寄木造(桂材)
彩色
玉眼
像高191.6cm
無著と兄弟
壮年の顔で左を向き遠くを見る
運慶の指導のもとに運賀(うんが)(運慶の五男)が担当
●十大弟子像(じゅうだいでしぞう)
大報恩寺(だいほうおんじ)(京都府)
重要文化財
鎌倉時代
快慶作
釈迦の弟子は1250人いたと説かれている
その中でもとくに優れた10人の弟子を十大弟子と呼んでいる
1218年、名仏師・快慶晩年の作と記され、十大弟子がすべてそろう肖像彫刻を代表する像
玉眼入りで、胎内経典が九巻伝わる
◎富楼那(ふるな)
お釈迦さまの父である浄飯王の家臣だったが、出家して仏弟子となった
説法が巧みだったことから、説法第一と言われている
●空也上人立像(くうやしょうにんりゅうぞう)
六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)(京都市)
重要文化財
鎌倉時代
像高117.0㎝
口からは『南無阿弥陀仏』ととなえる様子を造形化した
作者は鎌倉時代の仏師、康勝(こうしょう)(運慶の四男)です
●一遍上人立像(いっぺんしょうにんりゅうぞう)
長楽寺(ちょうらくじ)(京都府)
需要文化財
室町時代(1420年)
像高128.2㎝
木造彩色
熊野権現(くまのごんげん)の神託を受けた時宗を開いた一遍上人
慶派の大仏師、廿代康秀の作と伝わる
●公慶上人坐像(こうけいしょうにんざぞう)
東大寺(とうだいじ)公慶堂(奈良県)
重要文化財
江戸時代(1705年)
像高69.7㎝
戦国時代に東大寺は戦火により焼失
大仏の頭部も溶け、大仏殿がない雨ざらし状態で百年以上の歳月を過ごしました
江戸期、公慶上人(1648~1705)は勧進帳を作って諸国を歩き、大仏復興を成し遂げます
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません