愛染さんって?

愛染明王(あいぜんみょうおう)

矢を放って恋愛を成就させる像は、キューピッドのよう

梵字:ウン

 

真言:「オン・マカラギャ・バゾロウシュニシャ・バザラサトバ・ジャクウン・バク」

「ウン・タキ・ウン・ジャク・ウン・シッチ」

煩悩(ぼんのう)は悟りを防げるものではなく、
悟りの縁(えん)となるという密教の考え方が「煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)」

「愛着」・「親愛」の意味を持つ、明王とされ

愛欲を悟りへと浄化させるのが愛染明王です

身色は愛欲の強さを表す赤色で、一面三眼六臂(いちめんさんがんろっぴ)である

怒髪の上に、獅子の顔のついた獅子冠(ししかん)をかぶる

獅子冠の上には五鈷鉤(ごここう)をのせる

六本の手には、愛欲を断ち切るための弓と矢のほかに、金剛杵(こんごうしょ)や金剛鈴(こんごうれい)などをもつ

蓮華座の下に宝物を吐き出す、宝瓶(ほうびょう)が置かれる場合もある

 

インド名は「ラーガ」、「ラーガラージャ」、「マカラガ」など

インド神話では、赤色の意味

愛の神カーマが矢を放って恋愛を成就させるため、矢と弓を持たせた姿で描かれる場合が多い

恋愛成就のみならず、染物屋の守護神としても信仰された

ご利益は「縁結び」・「恋愛成就」・「結婚成就」、「夫婦円満」、「無病息災」、「延命」

日輪光背(にちりんこうはい)

五鈷鉤(ごここう)

獅子冠(ししかん)

苦難に屈しない強さを象徴する獅子の形をした宝冠をかぶっている

焔髪(えんぱつ)

拳(こぶし)

左の第三手には何ももたず拳をつくることが多い

第三の目

忿怒面(ふんぬめん)

金剛杵(こんごうしょ)

密教で使用される法具
杵(きね)に似た形をしており、中央に柄があり、煩悩に爪状の刀(鈷(こ))がついている

弓(ゆみ)

左手に弓、右手に矢をもち、人びとを惑わせるものを射る

矢(や)

金剛鈴(こんごうれい)

密教で使用される法具
金剛杵の形状で、その一端に鈴が付属する
鈴を鳴らすことで、如来や菩薩の注意を喚起するという

結跏趺坐(けっかふざ)

如来像に多く見られる坐り方
瞑想していることを表す

蓮華座(れんげざ)

愛染明王

神護寺(じんごじ)(京都)

重要文化財
鎌倉時代
像高 40cm

運慶の流れを汲む庚円仏師の作

愛染明王坐像(あいぜんみょうおうざぞう)

園城寺(三井寺)(おんじょうじ(みいでら))(滋賀県)

重要文化財
平安時代(十二世紀後半)
像高 92.1cm
ヒノキの寄木造

衣文の彫りは浅い

愛染明王坐像(あいぜんみょうおうざぞう)

西大寺(さいだいじ)(奈良)

重要文化財
鎌倉時代
像高30cm

西大寺の三宝久住を祈願して、仏師善円によって造立

愛染明王坐像(あいぜんみょうおうざぞう)

東京国立博物館

重要文化財
鎌倉時代
像高 64.0㎝
玉眼

廃仏毀釈によって廃絶した、内山永久寺(東大寺・興福寺・法隆寺に次ぐ規模)の像

光背も装飾品も造像当時のものが残っている

左肩にかける条帛、下半身に着ける裙には、截金(線状に切った金箔)による文様がのこる

厨子の絵画や色紙形の書、金属製瓔珞(ようらく)の細工

本像の中段左手は持物を取る仕様になっていない

愛染明王坐像(あいぜんみょうおうざぞう)

奈良国立博物館

重要文化財
鎌倉時代
像高 26.2㎝

蓮華座(れんげざ)や日輪光背(にちりんこうはい)、金銅製の装身具などは制作初頭のもので、鮮やかな彩色が残る

愛染明王坐像(あいぜんみょうおうざぞう)


勝鬘院(しょうまんいん)愛染堂

 

天弓愛染明王坐像(てんきゅう あいぜん みょうおう ぞう)

神童寺(じんどうじ)(京都府)

重要文化財
平安時代

左手で弓を持ち、天に向かって矢を放とうとしているポーズのこの像は天弓愛染明王と呼ばれる
円珍(えんちん)が伝えたとされる

『瑜祇経(ゆぎきょう)の「左に金剛弓を、右に金剛箭(こんごうや)を執るは、衆星の光を射るがごとし」との記述を再現したと考えることができる
きわめて作例が少ない

 

愛染明王坐像(あいぜんみょうおうざぞう)(天弓愛染明王(てんきゅうあいぜんみょうおう))


放光寺(ほうこうじ)(山梨県)

重要文化財
平安時代(12世紀後半)
像高 89.1㎝
円派(京都)

全国に京都神童寺、高野山金剛峯寺と当寺の三躰が天弓愛染として重文に指定されている

天弓愛染明王では日本最古の仏像である。

経典の中で「衆星の光を射るが如し」と示されているお姿をあらわしたものと言われています

両頭愛染明王

 

剛峰寺(和歌山県)

不動明王と愛染明王が合体した「両頭(りょうとう)愛染明王」

 

愛染明王,明王

Posted by susu