馬頭観音って?🐴
馬頭観音(ばとうかんのん)
梵字:カン
真言:おん あみりとどばん うん ばった そわか
馬頭観音は、頭の上に馬の頭をつけている
観音と言えば優しい顔ですが、馬頭観音だけは例外で、牙をむき出し怒った顔で悪を打ち砕くという
馬が草を食い尽くすように、私たちの煩悩(ぼんのう)をむさぼり食い尽くしてくれる
六道の畜生道(ちくしょうどう)に落ちた人びとを救う観音さまです
顔と腕の数は多様で、三面四臂(さんめんしひ)、四面八臂(しめんはっぴ)など、さまざまです
髪は燃え上がる焔髪(えんぱつ)で、額には第三の目があり、馬の口をかたどった馬口印(ばこういん)を結んでいる
馬口印(まこういん/ばこういん)
馬頭観音のインド名は「ハヤグリーヴァ」意味は「馬の首」です
ヒンドゥー教では、最高神ヴィシュヌが馬の頭に変化したものとされ、その力で敵を倒したとされる
旅の道中を見守る観音としても信仰を集めた
石仏
また、動物愛護や家畜の仏さまとして、畜産業の盛んな地域や競馬場のそばの、神社や祠(ほこら)に祀(まつ)られている
ご利益は
「動物救済」
「厄除け」
「無病息災」
「旅行安全」
「病気平癒」
❶馬頭(ばとう)
馬が草をむさぼり食べるように煩悩を食べ尽くす
❷焔髪(えんぱつ)
悪を追い払うために、炎のような髪型
❸第三の目
頭の中央にある目
仏眼ともいう
❹宝冠(ほうかん)
❺忿怒面(ふんぬめん)
いかりの表情
❻法輪(ほうりん)
❼宝棒(ほうぼう)
煩悩(ぼんのう)を打ち砕く棒
❽斧(おの)
煩悩を断ち切る
❾剣(けん)
❿数珠(じゅず)
⓫馬口印(ばこういん)
人差し指と薬指を曲げて合掌する印相
〇馬頭観音は立像が一般的で、坐像はあまり見られない
・馬頭観音菩薩像(ばとうかんのんぼさつぞう)
浄瑠璃寺(じょうるりじ)(京都府)
奈良国立博物館
重要文化財
鎌倉時代
木造・彩色
像高 106.3㎝
光背は、煩悩を焼き尽くす火焔(かえん)光背です
像内には七十数体の小型の馬頭観音が納められていた
・馬頭観音菩薩立像(ばとうかんのんぼさつりゅうぞう)
大安寺(だいあんじ)(奈良県)
重要文化財
奈良時代
一木造
像高173.5cm
特別公開 3月1日~31日
一般に馬頭観音様は、頭上に馬頭をいただく忿怒の形相ですが、その馬頭がありません
かわりに胸飾りの瓔珞(ようらく)と足首に蛇が巻きつき、腰には獣皮をまとい珍しい姿です
古像で、馬頭観音の原初の姿とも考えられている
・馬頭観音立像
豊財院(ぶざいいん)(石川県)
重要文化財
平安時代
像高 172.5㎝
本面のほか、左右耳の後方に脇面二面あり、表情は忿怒(ふんぬ)相
天衣・条帛(じょうはく)・裳(も)を身につけて直立する馬頭観音像です
・馬頭観音立像(ばとうかんのんりゅうぞう)
徳園寺(とくえんじ)(滋賀県)
県指定文化財
木造
鎌倉時代
像高 78.2㎝
足の裏を見せる珍しい馬頭観音さまです
この地域は交通の要所だったので、旅行の安全を守る馬頭観音を祀ったお寺が多いのかもしれません
・馬頭観音立像(ばとうかんのんりゅうぞう)
里歴史民俗資料館(滋賀県)
(横山神社所有)
市指定文化財
木造
平安~鎌倉時代
像高 99.6㎝
向源寺の隣にある「高月(たかつき)観音の里歴史民俗資料館」
畜生道(ちくしょうどう)に落ちた死者の苦しみも救ってくれる
・馬頭観音立像(ばとうかんのんりゅうぞう)
全長寺(ぜんちょうじ)(滋賀県)
平安時代
木造
像高 140㎝
後世の修正で体は金色に輝き、馬は白く塗られ、衣は美しい彩色で細かい紋様が施されています
他の馬頭観音と比べて、お顔は怖くありません
全長寺は、あじさいやだるま絵が有名なお寺です
・馬頭観音立像(ばとうかんのんりゅうぞう)
観世音寺(かんぜおんじ)(福岡県)
重要文化財
平安時代
ヒノキの寄木造
像高 5.03m
像高5mを超える日本最大の馬頭観音像
頭部には三目を備えた忿怒面(ふんぬめん)が四面ある
・馬頭観音坐像(ばとうかんのんざぞう)
山門地区公民館(滋賀県)
重要文化財
木造
平安時代
像高 103㎝
地域の人びとに守られてきた観音さまです
山門地区公民館の二階広間の床の間に、この馬頭観音坐像と阿弥陀如来坐像、阿弥陀如来立像の三体が安置され、間近で観ることができます
・馬頭観音坐像
中山寺(なかやまでら)(福井県)
重要文化財
鎌倉時代
木造
像高79.3cm
永く秘仏として厨子に納められていたため彩色はもちろん、台座・光背まで当初のものです
秘仏のため通常は公開されていません
33年に1度(17年に1度の中開帳もされます)
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