普賢菩薩さまって?

普賢菩薩(ふげんぼさつ)

「行(実践)」の仏さま
あらゆるとき、あらゆる場所に現れて人びとを救う

梵字:アン

真言:おん さんまや ざとばん

普賢菩薩の名の意味は「普(あまね)く(すべてにわたって)賢(かしこ)い仏さま」です

普賢菩薩は、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)とともに釈迦如来の脇侍(きょうじ)としてまつられます

文殊さまの智恵のはたらきが慈悲であり、それを行動でしめすのが普賢菩薩さまです

文殊の獅子に対して、普賢は白象に乗る場合が多い

普賢菩薩は6本の牙(きば)を持つ白いゾウの上に置かれた蓮台にすわり、手を合掌(がっしょう)している騎象像(きぞうぞう)が一般的です

白色はきよらかさを、ゾウはインドでは神聖な動物です

インド名は「サマンタバドラ」

普賢菩薩は、早い時期から仏教の経典に登場する

『華厳経(けごんきょう)』では、真理を求める善財童子(ぜんざいどうじ)の導き手として、普賢菩薩がかけがいのない存在とされる

後に『法華経(ほけきょう)』で、普賢菩薩は多く登場する
「提婆達多品(だいばだったぼん)」という章では、女性が女性の身体のままで悟れるという教えが説かれている

普賢菩薩さまは、女性を救い、浄土に往生できると、平安時代以降、とくに女性から信仰されています

辰(たつ)年・巳(み)年(へび年)の守り本尊で、「息災延命(そくさいえんめい)」「増益(ぞうやく)」のご利益がある

宝髻(ほうけい)
髪を高く結いあげ、宝冠をつけている

合掌印(がっしょういん)
両手をあわせる

結跏趺坐(けっかふざ)
足の甲(こう-表)を反対の足の太ももの上にのせる

蓮華座(れんげざ)
泥の中から花を咲かせるハスは、仏の智恵や悟りのシンボル

白象(はくぞう)
修行によって大きな悟りが得られるシンボル
白色は、きよらかさを表す

六牙(ろくげ)
六本の牙には、二説があります
「眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)」のことで、人間の心身を表している
六波羅蜜(菩薩が仏となるための6つの修行、布施・持戒・忍辱(にんにく)・精進(しょうじん)・禅定(ぜんじょう)・智慧(ちえ))を表している

普賢菩薩像(ふげんぼさつぞう)

『法華経(ほけきょう)』の中にある、普賢菩薩が白象に乗ってあらゆる場所に現れて修行者を守るという場面に基づいている

普賢菩薩騎象像(ふげんぼさつ きぞう ぞう)

岩船寺(がんせんじ)(京都府)

重要文化財
平安時代
クスノキの一本造
像高 39.5㎝

スリムな体型、繊細な指や腕、両手を合掌させ、優しげな顔立ち、太いまばら彫りの髻(もとどり)、翻波式(ほんばしき)の衣文表現など、平安後期の特徴です

平安後期に制作された普賢菩薩像は本像しかなく重要な像です

普賢菩薩像(ふげんぼさつぞう)

大倉集古館(おおくらしゅうこかん)(東京都)

国宝
平安時代
木造・彩色
像高 55.2㎝

ヒノキの割矧造(わりはぎづくり)で、象座はスギでできています

冠、首飾り、光背などは失われています
緑や赤系統の色の彩色が全体に残り、截金文様(きりかねもんよう)も部分的に残っています

普賢菩薩坐像(ふげんぼさつざぞう)

志那神社(滋賀県)

南北朝時代
像高 44.5㎝

衣には彩色が残るが、白象と蓮華座は失われている

普賢延命菩薩像(ふげんえんめいぼさつぞう)

延命祈願の本尊
4頭の白象に乗るものが多い

普賢延命菩薩像(ふげんえんめいぼさつぞう)

長岳寺(ちょうがくじ)(奈良県)

寿命を伸ばすご利益がある仏さまとされ、延命殿(旧地蔵院)に祀られている

普賢延命菩薩坐像(ふげんえんめいぼさつざぞう)

大山寺(たいさんじ)(大分県)

重要文化財
平安時代
像高 87.7㎝

台座の下段には八頭の白象が並び、上段には四頭の白象が並ぶ

十羅刹女(じゅうらせつにょ)

普賢菩薩は、『法華経(ほけきょう)』の教えを聞いて善神(ぜんしん)となった10人の鬼女を従える

普賢十羅刹女像-西大寺観音院(岡山県)