不空羂索観音って?

不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)

梵字:モ

真言:おん あぼきゃ びじゃや うん はった

不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)は、あまなすことなく(不空)、強い羂索(けんさく)ですべての人びとを救う観音さまです

羂索とは、インドで戦いや獣を狩る猟に使われた投げ縄状の罠(わな)です

一面三眼八臂(いちめんさんがんはっぴ)(お顔が1つ、目が3つ、手が8本)の造られているものが多い

鹿皮(ろくひ)の衣をはおり、手に羂索をもつ

不空羂索を信仰すれば、現世で財宝や無病などの20の功徳(くどく)が得られる
臨終に際して苦しみがないなどの8種の利益がある

不空羂索観音像のインド名は「アモーガパーシャ」

十一面観音、千手観音とともに古くから造立され、法隆寺金堂壁画に見ることができる

密教の天台宗において、観音菩薩の変化した六観音の一つとされる

※真言宗では不空羂索観音を六観音に加えず、代わりに准胝観音を加える
また、両方を加える場合もある

六道の人間道に転生した人びとを救う
まさに、私たち人間を救う観音さまです

化仏(けぶつ)
阿弥陀如来(あみだにょらい)の化仏

錫杖(しゃくじょう)
修行僧が持つシャンシャンと音が鳴る杖

蓮華(れんげ)
泥の中から煩悩(ぼんのう)にまみれずに咲くハスの花

第三の目
頭の中央にある目
仏眼ともいう

鹿皮(ろくひ)
鹿の毛皮の袈裟を着ていることから「鹿皮観音」とも言われる

合掌印(がっしょういん)
胸の中央で両手を合わせる
右手で与願印を結び、そのほかの五本の手は持物をもつのが一般的

羂索(けんさく)
苦しむすべての人びとを救済するための投げ縄
縄の両端には、半形の金剛杵(こんごうしょ)や環などをつけている

天衣(てんね)
ショールのように肩にかけてまとう長い衣
体の前や横に垂らす

蓮華座(れんげざ)
ハスの花びらをかたどった台座

・不空羂索観音立像(ふくうけんさくかんのんりゅうぞう)

観世音寺(福岡県)

重要文化財
鎌倉時代
像高 5.17m

ヒノキで制作された巨大な不空羂索観音像
腕は八本で、頭上には十一面の化仏を配している

・不空羂索観音坐像(ふくうけんさくかんのんざぞう)

京都国立博物館

鎌倉時代
像高 12.4㎝

腕が六本の不空羂索観音像

・不空羂索観音立像(ふくうけんさくかんのんりゅうぞう)

東大寺(奈良県)

国宝
奈良時代
像高 362㎝

合掌する両手の間に水晶呪珠を挟んでいる

銀製の宝冠には、真珠や水晶などの宝石類が2万個以上もちりばめられている

・不空羂索観音坐像(ふくうけんさくかんのんざぞう)

興福寺(こうふくじ)(奈良県)

国宝
鎌倉時代
木造・漆箔
像高 336㎝

興福寺の南円堂にまつられ、基本10月17日のみ公開される不空羂索観音像

お体も光背も金色に輝き、重量感のある体や大きくうねる衣文(えもん)など、天平時代や平安時代初期の像のようです