軍荼利明王って?
軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)
全身にヘビが巻きつき、胸の前で うでをクロスさせる
梵字:ウン
真言:胎蔵界「オン・アミリティ・ウン・ハッタ」
金剛界「オン・キリキリ・バザラ・ウン・ハッタ」
五大明王のうちのひとつで南方を守る
宝生如来(ほうしょうにょらい)宝物を生み出し福徳を授ける仏様の、怒りの化身である
軍荼利明王は、7世紀頃には登場している
古代インドの言葉 サンスクリット語の
「Kundali(クンダリニー)」(とぐろを巻いた蛇)の音訳
「クンダ」は水器や瓶(不死の妙薬amrta(アムリタ)である甘露を入れる器)
「リー」は止めるの意味
金剛界では「甘露軍荼利菩薩(かんろぐんだりぼさつ)」とも呼ばれ
八大明王では「大咲明王(だいきみょうおう)」と名が変わる
ヒンドゥー教の女神で、一種の夜叉とも考えられ
この女神はシヴァ神に性的エネルギーを与える存在です
日本に伝わる途中、中国で女神だったクンダリニーは、
なぜか性転換をして、男尊の軍荼利明王となったと言われ
軍荼利夜叉(ぐんだりやしゃ)などとも呼ばれる
青い身体に、首や手足にまとわりつく蛇が特徴的
一面三眼八臂(いちめん さんがん はっぴ)
中央の腕を交差させる大瞋印(だいしんいん)を結び
残りの手で蛇や持仏(じぶつ)をもつ
執念深い蛇を身にまとっていることから、悪心を飽くことなく懲らしめる明王
阿修羅(あしゅら)、悪鬼など全ての外敵より人を守り、様々な障害を取り除くとされる
疫病をもたらす毘那夜迦天(ガネーシャ-象の鼻を持つ)も倒したいう
煩悩に満ちた人々をしかって、正しい道へ導く明王です
ご利益は、「煩悩除去」・「息災延命(そくさいえんめい)」病気や事故などを防ぐとされる
❶火焔光背(かえんこうはい)
像の背後の炎
❷焔髻(えんけい)
炎のように逆立った髪の毛
❸忿怒面(ふんぬめん)
❹第三の目
❺大瞋印(だいしんいん)跋折羅印(ばさらいん)
軍荼利印(2本の腕の親指と小指を曲げて正面でクロスする)を結ぶ
両手の甲を交差させて、外側に向ける独特の印相
❻虎皮裙(こひくん)
虎皮の裙(腰巻き)
虎(とら)のような強さを表す
❼足釧(あしせん)
❽三叉戟(さんさげき)向かって右中手
❾法輪(ほうりん)
❿白蛇(しろへび)(索)向かって右下手
胸元や手首、足首などに蛇を巻きつけている
蛇は智恵を象徴し、煩悩を打ち砕く神通力が備わっているとされる
⓫金剛杵(こんごうしょ)向かって左手
密教で使用される法具
杵(きね)に似た形をしており、中央に柄があり、両端に爪状の刀(鈷(こ))がついている
鈷が三つに分かれた三鈷杵(さんこしょ)や、五つに分かれた五鈷杵(ごこしょ)、鈷が分かれていない独鈷杵(どっこしょ)などある
⓬踏割蓮華座(ふみわりれんげざ)
小型の蓮華座で、左右の足をそれぞれ乗せる
💎五大明王は、平安時代の初期に空海によって唐から伝えられた
●軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)
常福寺(三重県)
重要文化財
平安時代
像高 174.3㎝
カヤ材一木造
一面八臂の立像
●軍荼利明王立像(ぐんだりみょうおうりゅうぞう)
金勝寺(こんしょうじ)二月堂(滋賀県栗東市荒張)
重要文化財
平安時代前期
像高 360.5㎝
ヒノキの一木造
独尊として祀られている
丸い目玉を目立たせるように目を見開き、歯を剥き出す忿怒相
平安前期の彫刻の特色で、裳(も)や天衣(てんね)には渦巻きが刻まれている
軍茶利明王の古像として貴重な作品
●軍荼利明王立像(ぐんだりみょうおうりゅうぞう)
常楽院(じょうらくいん)(埼玉県飯能市)
重要文化財
平安時代
像高 228.8㎝
「高山不動(たかやまふどう)」の呼び名で親しまれている寺院
716年、行基菩薩によって、一根五枝の大木から五大明王像を造像、後に軍茶利明王像を除く四尊が焼失した。
秘仏ですが、冬至に開帳されます。
●軍荼利明王立像(ぐんだりみょうおうりゅうぞう)
不退寺(ふたいじ)(奈良)
重要文化財
平安時代
像高 158㎝
奈良で、五大明王像が全て現存しているのは、ほぼ不退寺のみ。
●軍荼利明王立像(ぐんだりみょうおうりゅうぞう)
大覚寺(だいかくじ)(京都府)
重要文化財
平安時代
像高 69.5㎝
嵯峨天皇の離宮を寺としたもので、空海が五大明王を安置して祈祷を行ったことが記録に残っている
平安時代末期の仏師・明円(みょうえん)が制作した
蛇が胸元や手首に巻きついている
●軍荼利明王立像(ぐんだりみょうおうりゅうぞう)(五大明王像)
奈良国立博物館
平安時代 10~11世紀
像高32.4
檜材 一木造
アニメぽくってカワイイ
●軍荼利明王立像(ぐんだりみょうおう)
東寺(とうじ)(京都)
国宝
平安時代 839年
像高 約2.0m
木造彩色(乾漆補)
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