日光菩薩さま?月光菩薩さまって?

日光菩薩(にっこうぼさつ)
月光菩薩(がっこうぼさつ)

お薬師さまがお医者さんなら、日光菩薩さまと月光菩薩さまは、看護師さん

梵字:日光菩薩 ア

   月光菩薩 シャ

真言:おん せんだら はらばや そわか

薬師如来の脇侍(わきじ)で、瑠璃光浄土(るりこうじょうど)にいる無数の菩薩の中でトップ

日光菩薩は太陽を象徴
別名は「日光遍照(にっこうへんじょう)」または「日耀(にちよう)」

月光菩薩は月を象徴
別名は「月光遍照(がっこうへんじょう)」または「月浄(がつじょう)」

日光菩薩さまと月光菩薩さまは、お薬師さまの子どもの「日照(にっしょう)・月照(がっしょう)」です

日光菩薩は向かって右に
月光菩薩は向かって左に配置され
左右対称のポーズを取ることが多い

持物はハスの上に
日光菩薩は、日輪(にちりん)
月光菩薩は、月輪(がちりん)をのせている

単独での造像は、ほとんどない
飛鳥・奈良時代から薬師信仰の流行によって多く造られた

東方瑠璃光浄土(とうほう るりこうじょうど)より
日光菩薩は、一千もの光を発して、全ての世を照らし、闇をはらい人びとの苦しみを取りのぞく

月光菩薩は、月のような静かで清らかな慈悲の光をもち、人びとの苦しみを取りのぞく

ご利益は、「病気平癒(びょうきへいゆ)」・「健康長寿(けんこうちょうじゅ)」・「災難厄除(さいなんやくよけ)」です

宝髻(ほうけい)
長い髪を高く結いあげた髪型

日輪(にちりん)
煩悩の闇を太陽のように照らす

月輪(がちりん)
月の光のような慈悲をもっていることを意味する

蓮台(れんだい)
ハスの花

蓮枝(れんし)
ハスの枝

三道(さんどう)
のどにある三本のしわ

天衣(てんね)
ショールのように両肩にかける長い衣

蓮華座(れんげざ)
ハスの花をかたどった台座

日光菩薩像(にっこうぼさつぞう)月光菩薩像(がっこうぼさつぞう)

薬師如来の脇侍(わきじ)として
右に日光菩薩立像左に月光菩薩立像が対称のポーズを取り
薬師三尊像としてまつられている

多くの像は、日輪(にちりん)・月輪(がちりん)を乗せた蓮枝(れんし)をもつが、何ももたない場合もある

日光菩薩立像(にっこうぼさつりゅうぞう)
月光菩薩立像(がっこうぼさつりゅうぞう)

願隆寺(がんりゅうじ)(滋賀県)

重要文化財
平安時代
像高 168.4㎝(日光菩薩)
   169.3㎝(月光菩薩)

蓮枝をもち、その先の蓮台に日輪・月輪が乗せられている

日光菩薩立像(にっこうぼさつりゅうぞう)

福岡市美術館

重要文化財
鎌倉時代
像高 63.7㎝

全身に漆箔(しっぱく)(漆を塗った上に金箔を押す技法)が施されている

日光菩薩(にっこうぼさつ)月光菩薩立像(がっこうぼさつ)

東大寺(とうだいじ)(奈良)
国宝
塑像(日光菩薩)206.3㎝ (月光菩薩)206.8㎝
奈良時代 8世紀

東大寺ミュージアムに安置されている
以前は、法華堂で本尊の不空羂索観音像(ふくうけんさくかんのんぞう)の手前の左右に立っていた

日光月光菩薩立像(にっこう がっこうぼさつりゅうぞう)

勝常寺(しょうじょうじ)(福島県)

国宝
平安時代
ケヤキの一木造
像高 169.4㎝(日光菩薩)
   173.9㎝(月光菩薩)

勝常寺の薬師如来坐像の脇侍(きょうじ)

日光菩薩立像(にっこうぼさつりゅうぞう)月光菩薩立像(がっこうぼさつりゅうぞう)

神童寺(じんどうじ)(京都)

重要文化財
木造彩色

日光菩薩立像
一本造
10世紀初頭
像高 162.4㎝

月光菩薩立像
寄木造
12世紀前半
像高 171.5㎝

日光菩薩と月光菩薩は、一本造、寄木造と違う造り方
造られた年代も違う

近くにあった薬師寺という寺と神童寺が併合された時に移されてきて
薬師如来の両脇侍として配されている

日光月光菩薩立像(にっこう・がっこうぼさつりゅうぞう)

月光菩薩

道成寺(どうじょうじ)(和歌山県)

国宝
平安時代
像高 252㎝(日光菩薩)
   242㎝(月光菩薩)

道成寺の千手観音立像(せんじゅかんのんりゅうぞう)の脇侍(きょうじ)

日光・月光菩薩立像が、千手観音の脇侍になるのは珍しい

薬師三尊像(やくしさんぞんぞう)(月光菩薩・薬師如来・日光菩薩)

薬師寺(やくしじ)(奈良)

国宝
白鳳時代 7世紀
銅造
像高(中尊)254.7㎝

造立当初は鍍金(ときん)が施され黄金に輝いていた

薬師三尊像(やくしさんぞんぞう)

雲龍院(うんりゅういん)(京都府)

平安時代または鎌倉時代

「お薬師さん」と呼ばれ、親しまれてきた

薬師三尊像(やくし さんぞんぞう)

飛騨国分寺(ひだこくぶんじ)(岐阜県)

江戸時代

中央が薬師如来で、左右は日光・月光菩薩です
円空が彫ったものと伝えられている