馬頭観音って?🐴

2022年4月20日

馬頭観音(ばとうかんのん)

梵字:カン

真言:おん あみりとどばん うん ばった そわか

馬頭観音は、頭の上に馬の頭をつけている

観音と言えば優しい顔ですが、馬頭観音だけは例外で、牙をむき出し怒った顔で悪を打ち砕くという

馬が草を食い尽くすように、私たちの煩悩(ぼんのう)をむさぼり食い尽くしてくれる

六道の畜生道(ちくしょうどう)に落ちた人びとを救う観音さまです

顔と腕の数は多様で、三面四臂(さんめんしひ)、四面八臂(しめんはっぴ)など、さまざまです

髪は燃え上がる焔髪(えんぱつ)で、額には第三の目があり、馬の口をかたどった馬口印(ばこういん)を結んでいる

馬口印(まこういん/ばこういん)

馬頭観音のインド名は「ハヤグリーヴァ」意味は「馬の首」です

ヒンドゥー教では、最高神ヴィシュヌが馬の頭に変化したものとされ、その力で敵を倒したとされる

旅の道中を見守る観音としても信仰を集めた

石仏

また、動物愛護や家畜の仏さまとして、畜産業の盛んな地域や競馬場のそばの、神社や祠(ほこら)に祀(まつ)られている

ご利益は
「動物救済」
「厄除け」
「無病息災」
「旅行安全」
「病気平癒」

馬頭(ばとう)
馬が草をむさぼり食べるように煩悩を食べ尽くす

焔髪(えんぱつ)
悪を追い払うために、炎のような髪型

第三の目
頭の中央にある目
仏眼ともいう

宝冠(ほうかん)

忿怒面(ふんぬめん)
いかりの表情

法輪(ほうりん)

宝棒(ほうぼう)
煩悩(ぼんのう)を打ち砕く棒

(おの)
煩悩を断ち切る

(けん)

数珠(じゅず)

馬口印(ばこういん)
人差し指と薬指を曲げて合掌する印相

馬頭観音は立像が一般的で、坐像はあまり見られない

馬頭観音菩薩像(ばとうかんのんぼさつぞう)

浄瑠璃寺(じょうるりじ)(京都府)
奈良国立博物館

重要文化財
鎌倉時代
木造・彩色
像高 106.3㎝

光背は、煩悩を焼き尽くす火焔(かえん)光背です

像内には七十数体の小型の馬頭観音が納められていた

馬頭観音菩薩立像(ばとうかんのんぼさつりゅうぞう)

大安寺(だいあんじ)(奈良県)

重要文化財
奈良時代
一木造
像高173.5cm
特別公開 3月1日~31日

一般に馬頭観音様は、頭上に馬頭をいただく忿怒の形相ですが、その馬頭がありません

かわりに胸飾りの瓔珞(ようらく)と足首に蛇が巻きつき、腰には獣皮をまとい珍しい姿です

古像で、馬頭観音の原初の姿とも考えられている

馬頭観音立像

豊財院(ぶざいいん)(石川県)

重要文化財
平安時代
像高 172.5㎝

本面のほか、左右耳の後方に脇面二面あり、表情は忿怒(ふんぬ)相

天衣・条帛(じょうはく)・裳(も)を身につけて直立する馬頭観音像です

馬頭観音立像(ばとうかんのんりゅうぞう)

徳園寺(とくえんじ)(滋賀県)

県指定文化財
木造
鎌倉時代
像高 78.2㎝

足の裏を見せる珍しい馬頭観音さまです

この地域は交通の要所だったので、旅行の安全を守る馬頭観音を祀ったお寺が多いのかもしれません

馬頭観音立像(ばとうかんのんりゅうぞう)

里歴史民俗資料館(滋賀県)
(横山神社所有)

市指定文化財
木造
平安~鎌倉時代
像高 99.6㎝

向源寺の隣にある「高月(たかつき)観音の里歴史民俗資料館」

畜生道(ちくしょうどう)に落ちた死者の苦しみも救ってくれる

馬頭観音立像(ばとうかんのんりゅうぞう)

全長寺(ぜんちょうじ)(滋賀県)

平安時代
木造
像高 140㎝

後世の修正で体は金色に輝き、馬は白く塗られ、衣は美しい彩色で細かい紋様が施されています

他の馬頭観音と比べて、お顔は怖くありません

全長寺は、あじさいやだるま絵が有名なお寺です

馬頭観音立像(ばとうかんのんりゅうぞう)

観世音寺(かんぜおんじ)(福岡県)

重要文化財
平安時代
ヒノキの寄木造
像高 5.03m

像高5mを超える日本最大の馬頭観音像

頭部には三目を備えた忿怒面(ふんぬめん)が四面ある

馬頭観音坐像(ばとうかんのんざぞう)

山門地区公民館(滋賀県)

重要文化財
木造
平安時代
像高 103㎝

地域の人びとに守られてきた観音さまです

山門地区公民館の二階広間の床の間に、この馬頭観音坐像と阿弥陀如来坐像、阿弥陀如来立像の三体が安置され、間近で観ることができます

馬頭観音坐像

中山寺(なかやまでら)(福井県)

重要文化財
鎌倉時代
木造
像高79.3cm

永く秘仏として厨子に納められていたため彩色はもちろん、台座・光背まで当初のものです

秘仏のため通常は公開されていません
33年に1度(17年に1度の中開帳もされます)